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AWS活用支援コラム

Amazon Bedrock AgentCoreとは AIエージェントを本番運用するための実行基盤を解説

生成AIの活用がPoCから実装段階へ移るなかで、多くの企業が直面しているのが「作ったAIエージェントをどう本番運用するか」という課題です。試作段階では動いても、実行環境の確保、会話履歴の保持、既存システムとの連携、認証やログの管理までを揃えるとなると、途端にハードルが上がります。こうした本番運用に必要な要素をまとめて提供するのが、AWSのAmazon Bedrock AgentCoreです。

Amazon Bedrock AgentCoreとは

Amazon Bedrock AgentCoreは、AIエージェントを本番環境で実行・運用するためのAWSのプラットフォームです。実行環境、記憶、外部接続、認証、監視など、運用に必要な機能を提供します。

AI Agentとは

AIエージェントとは、与えられた目的をもとに、AIが必要な処理を判断し、ツールや外部システムを使って自律的に作業を進める仕組みです。例えば「先月の売上を分析して」と依頼すると、データ取得から分析までを順番に実行できます。通常の生成AIが回答を中心とするのに対し、AIエージェントは複数の処理を組み合わせて目的達成を目指します。

AWSでAIエージェントを構築するには

AWSのサービスを使ってAIエージェントを構築するには複数の方法があります。

Amazon Bedrock Agents

Amazon Bedrock Agentsは、Amazon Bedrock上でAIエージェントを簡単に構築できるマネージド機能です。基盤モデルへの指示、Knowledge Basesによる検索、Lambdaなどのアクションを組み合わせます。

Strands SDK

Strands Agentsは、AWSが公開したオープンソースのAIエージェントSDKです。モデル、指示文、ツールをコードで定義し、柔軟なエージェントを開発できます。SDKなので、コードの実行環境さえあればよく、Bedrock以外のモデルプロバイダーにも対応します。

Amazon Bedrock AgentCore

AgentCoreは、作成したAIエージェントを本番運用するための共通基盤です。Strands AgentsやLangGraphなどで作ったエージェントの実行、外部連携、監視を支援します。

 

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Amazon Bedrock AgentCoreで提供される機能

Amazon Bedrock AgentCoreは、AIエージェントの実行基盤から外部連携、セキュリティ機能まで、様々な機能を提供しています。それぞれの機能を組み合わせることで、要件に応じたAIエージェントの構築・運用に役立ちます。

提供される主な機能は、以下の7つです。 

機能役割主な用途
AgentCore Runtime実行基盤AIエージェント向けのサーバーレス実行環境。セッションごとに分離された環境で実行でき、需要に応じてスケールします。
AgentCore Code Interpreterコード実行AIが生成したコードを隔離環境で実行。計算やデータ分析など、プロンプトによる文章生成では難しい処理に利用できます。
AgentCore Memoryエージェント用の記録装置ユーザーとの会話や過去の情報を保持。短期記憶と、セッションをまたぐ長期記憶に対応します。
AgentCore Gateway外部システムとの接続APIやLambdaなどをAIエージェントから利用できるツールとして接続。MCPにも対応し、既存システムとの連携に利用できます。
AgentCore Observability監視・モニタリングどの処理を行い、どのツールを呼び出し、どこでエラーになったかを追跡。CloudWatchなどと連携して確認できます。
AgentCore IdentityセキュリティAWSや外部サービスへアクセスする際の認証・権限を管理。ユーザーに代わってエージェントが処理を行う場合にも、アクセス制御を適用できます。
AgentCore Browser Toolブラウザ操作AIエージェントがWebブラウザを操作するためのマネージド環境。Webサイトの閲覧やフォーム入力、情報取得などを自動化できます。

 

Bedrock エージェント VS Bedrock AgentCore

AWS上でAIエージェントを構築する際、Bedrock AgentsとAgentCoreのどちらを選ぶべきかは判断に迷いやすいポイントです。両者は上位・下位の関係ではなく、想定する使い方が異なります。ここでは提供形態、コスト、実装の難易度という3つの観点から違いを整理します。

マネージドサービス vs プラットフォーム提供

Bedrock Agentsは、AWSが用意した仕組みでエージェントを構築するマネージドサービスです。導入しやすい一方、構成には一定の枠があります。一方のAgentCoreは、実行基盤や各種機能を提供するプラットフォームです。モデルやフレームワークを自由に選びやすい点が特徴です。

コストの差は?

どちらも利用量に応じて料金が発生するため、一概にどちらが安いとはいえません。基盤モデルや各機能の利用状況によって変わります。AgentCore Runtimeなどは実際のリソース利用量に応じて課金され、CPUを使用していないI/O待ち時間にはCPU料金が発生しません。常時サーバーを稼働させる構成より、アイドル時のコストを抑えやすい設計です。

実装の差は?両者の実装の複雑さ比較

導入しやすさを重視する場合はBedrock Agentsが適しています。マネージドサービスとしてAWS側が基本的な制御を担うため、比較的少ない開発量で始められます。また、導入後の運用保守もAWS側で大半を実施するため、運用コストも抑えられます。ただし、カスタマイズ性は低いというデメリットがあります。

AgentCoreはカスタマイズ性が高い一方、Python、エージェントフレームワーク、MCP、API連携、認証・権限設計など幅広い知識が必要です。「Bedrock Agentsの上位版」ではなく、独自性の高いAIエージェントを本格的に開発・運用する選択肢と考えると分かりやすいでしょう。

◆Amazon Bedrock AgentCoreを使ってみる

Amazon Bedrock AgentCoreは、AIエージェントを本番環境で安全に動かすための実行基盤です。ここではAWSマネジメントコンソール(東京リージョン)でAgentCoreを開き、提供されている機能をひととおり確認します。

全体像を確認する

  1. Bedrockの左ナビゲーションから[AgentCore]をクリックすると、AgentCoreの専用コンソールが別画面で開きます。左メニューの[概要]を選ぶと全体構成が図で表示されます。
  2. 図のとおり、AgentCoreはハーネス/組み込みツール/ゲートウェイ/アイデンティティ/メモリー/ポリシー/レジストリ/ランタイムといったモジュールの集合体です。これらを組み合わせて使うことも、必要なものだけ単体で使うこともできます。

    図1:AgentCoreの概要画面。各モジュールの関係が図示される

ハーネスでエージェントを定義する

  1. 左メニューの[ハーネス]をクリックします。ハーネスは、インフラの管理やオーケストレーションのコードを書かずにAIエージェントを作成・実行できるフルマネージド環境です。

    図2:ハーネスの画面。作成・テスト・評価の流れが示される

  2. [ハーネスをクイック作成] → [ハーネスをクイック作成]を選ぶと、名前を入力するだけのシンプルなダイアログが開きます。作成後にモデル・システムプロンプト・ツールを設定していきます。名前は作成後に変更できない点に注意してください。

    図3:ハーネスの作成ダイアログ

実行基盤と連携機能を確認する

  1. 左メニューの[ランタイム]では、エージェントを安全にスケーラブルにデプロイできます。セッションを分離するmicroVM、長時間実行向けのインスタンスなど、ワークロードに応じた実行環境を選べます。

    図4:ランタイムの画面。デプロイ方式とホスト方法を選択する

  2. 左メニューの[ゲートウェイ]では、MCP(Model Context Protocol)やOpenAPIスキーマ経由でツールを呼び出せるようにします。エージェントから外部APIを安全に利用するための入口となる機能です。

    図5:ゲートウェイの画面。MCPやAPIをツールとして接続する

  3. 作成したハーネスは、左メニューの[ハーネスプレイグラウンド]から選択してコンソール上で直接テストできます。メッセージ送信やモデルパラメータの調整、システムプロンプトの上書きを、本番へデプロイする前に試せます。

    図6:ハーネスプレイグラウンド。作成したハーネスを選んでテストする

このほか、会話履歴を保持する「メモリー」、権限を制御する「ポリシー」「アイデンティティ」、実行内容を追跡する「オブザーバビリティ」が用意されています。エージェント単体の開発から本番運用までを、AgentCoreだけで一貫して支えられる構成になっています。

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まとめ

Amazon Bedrock AgentCoreは、AIエージェントの本番運用に必要な実行、記憶、外部連携、認証、監視などの機能を提供します。手軽に始めたい場合はBedrock Agents、モデルやフレームワークまで柔軟に設計したい場合はAgentCoreが候補です。導入時は開発スキルや運用体制も含めて選択しましょう。