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Amazon Bedrock Agentsとは AIエージェントの構築手順を示して解説

生成AIの活用が「文章や画像を生成する」段階から、「業務そのものを自律的に進める」段階へと広がりつつあります。その中心にあるのが、目的に応じて自ら判断し、複数の処理を組み合わせて実行するAIエージェントです。

AWSでは、Amazon Bedrock上でこのAIエージェントを構築できる「Amazon Bedrock Agents」が提供されています。

本記事では、AIエージェントの基本から、Amazon Bedrock Agentsの仕組みやメリット、実際の構築手順までを順を追って解説します。

AIエージェントとは?

近年、生成AIの進化とともに「AIエージェント」という言葉を耳にする機会が増えています。ここでは、AIエージェントとは何か、その定義と生成AIとの違いを整理します。

AIエージェントの定義

AIエージェントとは、AWSによると、『環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、自主的な目標を達成するためのソフトウェアプログラム』と定義されています。つまり、ユーザーから与えられた目的や依頼内容をもとに、必要な情報を判断し、複数の処理を自律的に進めるAIシステムのことです。

単に質問に答えるだけではなく、目的を達成するために「何を確認すべきか」「どのツールを使うべきか」「次にどの処理を行うべきか」を判断しながら動作する点が特徴です。たとえば、ユーザーが「来週の出張に必要な手続きを進めて」と依頼した場合を考えます。通常のチャットAIであれば、出張申請の手順を文章で説明するだけかもしれません。一方、AIエージェントであれば、社内規程を確認し、出張申請システムにアクセスし、必要な項目を整理し、承認フローに進めるといった一連の作業を支援できます。

生成AIとの違い

生成AIAIエージェントは似た言葉として使われることがありますが、役割は異なります。生成AIは、入力されたプロンプトに対して文章、画像、コード、要約などを生成する技術です。たとえば、「この文章を要約して」「メール文を作って」「エラー内容を説明して」といった依頼に対して、自然な回答を返すことが得意です。一方、AIエージェントは、生成AIを中核にしながら、目的達成のために複数のステップを実行する仕組みです。必要に応じて社内文書を検索したり、APIを呼び出したり、外部システムから情報を取得したりします。つまり、生成AIが「回答を作るAI」だとすれば、AIエージェントは「判断しながら作業を進めるAI」といえます。

この違いは、業務利用を考えるうえで重要です。生成AIだけを導入した場合、ユーザーはAIから得た回答を見て、自分で業務システムを操作する必要があります。しかしAIエージェントを活用すれば、AIが必要な情報を確認し、決められた範囲内で業務処理を支援できます。

AIエージェントの仕組み

AIエージェントは、一般的に「ユーザーの依頼を理解する」「必要な情報や処理を判断する」「ツールやシステムを呼び出す」「結果をもとに次の行動を決める」という流れで動作します。

まず、ユーザーが自然言語で依頼を入力します。AIエージェントは、その内容を解釈し、目的を達成するために必要な手順を考えます。次に、社内文書、FAQ、データベース、業務システム、外部APIなど、あらかじめ接続された情報源やツールの中から適切なものを選択します。たとえば、社内問い合わせ対応のエージェントであれば、まずナレッジベースから関連する規程や手順を検索します。必要に応じて、チケット管理システムを確認したり、申請システムの状態を取得したりします。そのうえで、ユーザーに回答する、追加情報を求める、次の処理を実行するといった判断を行います。

このように、AIエージェントは単発の回答ではなく、目的に向けて複数の処理を組み合わせる点が特徴です。裏側では、基盤モデルがユーザーの意図を理解し、どのツールを使うか、どの順番で処理するかを判断します。

AIエージェントのメリットは?

AIエージェントでは、複数システムにまたがる業務を効率化できる点がメリットです。従来は、担当者がマニュアルを確認し、管理画面にログインし、複数の情報を照合して判断していた作業を、AIエージェントが支援できます。情シス部門では、問い合わせ対応、アカウント申請、障害一次切り分け、ナレッジ検索などへの活用が考えられます。

AIエージェントを使う上で気を付けることは?

AIエージェントを安全に使うには、権限設計やログ管理といったセキュリティ対策が第一になります。また、承認フローや誤操作時の対策が欠かせません。便利さだけでなく、どこまで自動化し、どこから人間の確認を挟むか(Human in the loopといいます)を設計することが重要です。

Amazon Bedrock Agentsとは

Amazon Bedrock Agentsは、AWSの生成AIサービスであるAmazon Bedrock上でAIエージェントを構築するための機能です。基盤モデル、社内データ、API、業務アプリケーションを組み合わせ、ユーザーの依頼に応じて必要な処理を実行するエージェントを作成できます。

Amazon Bedrockは、Amazon NovaAnthropic Claudeなど複数の基盤モデルを利用できるフルマネージドサービスです。その中でBedrock Agentsは、モデルに対して単に質問するだけでなく、業務タスクを完了するための流れを組み立てる役割を担います。

Bedrock Agentsでは、エージェントに対して指示、利用する基盤モデル、参照するナレッジベース、実行可能なアクショングループなどを設定します。ナレッジベースを使えば、社内文書やFAQなどの情報をもとに回答できます。アクショングループを使えば、AWS Lambdaなどを介して外部APIや業務システムの処理を呼び出せます。

Amazon Bedrock Agentsのメリット

Amazon Bedrock Agentsのメリットは、AIエージェント構築に必要な機能をAWS上でまとめて利用できる点です。基盤モデルの呼び出し、ナレッジベースとの連携、API実行、処理のオーケストレーションを組み合わせられるため、個別に仕組みを作り込む負担を抑えられます。また、他のAWSサービスと簡単に連携できることも大きな強みです。AIエージェントを構築するうえで必要なセキュリティ関連の設計は、IAMやSecurity Hub、Amazon Bedrock Guardrailsなどと連携して簡単に実装することができます。

 

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Amazon Bedrock Agentsを活用する

Amazon Bedrock Agentsは、基盤モデルに「役割の指示」と「実行できる行動」を与えることで、利用者の依頼を自律的に処理させられるマネージドサービスです。ここではプログラムを書かず、AWSマネジメントコンソールの操作だけで、数値データを分析して日本語で解説するエージェントを作成し、動作を確認するまでを、画面の操作どおりに手順化して説明します。

【事前準備】本手順では基盤モデルにAmazon Nova Proを使用します。あらかじめBedrockの「モデルアクセス」で対象モデルが有効化されていることを確認してください(利用可能な他のテキスト生成モデルでも代用できます)。

エージェントを作成する

  1. AWSマネジメントコンソールでAmazon Bedrockを開き、左側のナビゲーションメニューから[エージェント]をクリックします。
  2. エージェント一覧の右上にあるオレンジ色の[エージェントを作成]ボタンをクリックします。

    図1:エージェント一覧。右上の[エージェントを作成]から開始する

  3. 表示された「エージェントを作成」ダイアログの[名前]に「data-analysis-assistant」と入力します。
  4. [説明オプション]に「売上などの数値データを分析し、傾向を日本語で解説するエージェント」と入力します。「マルチエージェントコラボレーションを有効にする」のチェックはオフのままにします。
  5. ダイアログ右下の[作成]ボタンをクリックします。エージェントが作成され、エージェントビルダーが開きます。

    図2:名前と説明を入力した作成ダイアログ

モデルと指示を設定する

  1. エージェントビルダーの「モデルを選択」セクションにある[モデルを選択]ボタンをクリックします。
  2. モデル選択ダイアログで、左の「カテゴリ」から[Amazon]、中央の「モデル」から[Nova Pro]を選び、右の「推論」で推論プロファイル「APAC Nova Pro」を選択して、右下の[適用]をクリックします。
  3. 「エージェント向けの指示」欄をクリックし、次の指示文をそのまま貼り付けます(40文字以上必要です)。
    あなたは数値データ分析の専門アシスタントです。ユーザーから売上や件数などのデータが与えられたら、次の手順で対応してください。
    1.データの内容と分析の観点を整理して提示する
    2.合計・平均・前月比などの基本的な指標を計算する
    3.計算結果から読み取れる傾向と注意点を、専門用語を避けた日本語で説明する
    4.最後に、追加で確認すべきデータがあれば提案する
    回答は必ず日本語で、簡潔にまとめてください。
  4. 画面右上の[保存]ボタンをクリックします。保存後、同じく右上の[準備]ボタンをクリックし、「エージェント : data-analysis-assistant が正常に準備されました」と表示されることを確認します。

    図3:基盤モデルの選択と「エージェント向けの指示」の入力

動作をテストする

  1. 画面右側の「テストエージェント」パネルの入力欄に、次のプロンプトを入力し、下の[実行]ボタンをクリックします。
    月次売上データの分析をお願いします。1月120万円、2月135万円、3月128万円、4月150万円です。
  2. 合計売上・平均・前月比の増減を踏まえた分析コメントが、日本語で返ってくることを確認します。意図どおりの観点で説明されていれば成功です。

    図4:テストパネルでの実行結果(月次売上の分析)

コードを書かずに、目的へ合わせたAIエージェントを用意できました。実運用ではアクショングループやナレッジベースを連携させ、外部APIの呼び出しや社内文書の参照まで担わせることも可能です。

 

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まとめ

AIエージェントは、生成AIを活用してユーザーの目的を理解し、必要な情報検索やシステム操作を組み合わせて業務を支援する仕組みです。単に回答を生成するだけでなく、複数の手順を判断しながら実行できる点が特徴です。

Amazon Bedrock Agentsを使えば、基盤モデル、ナレッジベース、アクショングループを組み合わせ、AWS上でAIエージェントを構築できます。社内問い合わせ対応、申請支援、チケット作成、情報検索など、様々な業務効率化に適用できます。

一方で、AIエージェントは業務システムと連携するため、権限管理や操作範囲の設計が重要です。構築に向けては専業のベンダーにも相談してみてください。