COLUMN誰でもわかる!お役立ちコラム

AWS活用支援コラム

オンプレミスサーバーのAWS移行で活躍する様々なツール

オンプレミスサーバーからの移行時に活用したいサービスとツール

近年、様々な企業がITシステムをAWS(Amazon Web Services)に移行しています。オンプレミス上のITシステムをAWS(Amazon Web Services)上に移行すると、AWSを利用することによる様々なメリットを得ることができます。

例えば、データセンターの契約が不要になる、物理サーバの運用監視が不要になる、数クリックでサーバを作成できる、といった具合で、QCD(Quality、Cost、Delivery)を大幅に改善することができます。それぞれの企業は、様々なツールを利用してAWSにシステムを移行しています。また、移行すべき対象としては、大きく分けてサーバ、データべース、データの3項目が挙げられます。

それぞれについて、AWSでは移行のためのサービス、ツールが用意されていますが、具体的にどのようなサービスがあり、どのようなケースで使用すればいいのか、具体的に見ていきましょう。

サーバの移行

まずは、サーバの移行に関するサービスやツールについてみていきます。AWSでは、VM Import/Export、AWS Server Migration Service、CloudEndure Migrationの3つのツールが用意されています。それぞれどのようなサービスなのか、見ていきましょう。

VM Import/Export

オンプレミス環境に構築したサーバをAmazon EC2インスタンスへ移行(インポート)する、またはAWS上に構築したEC2インスタンスをオンプレミス環境へ移す(エクスポート)ことが可能です。移行できる対象は、Microsoft Hyper-V、Citrix Xen仮想化形式を使用する仮想マシンになります。

サーバをオンプレミス環境から移行すると、S3にAMI(Amazon Machine Image)として保存され、AMIからサーバを起動すれば移行完了となります。

AWS Server Migration Service

AWS Server Migration Service(以下、AWS SMS)は、オンプレミスのVMware ESX上で稼働している仮想サーバをAWSに移行することができるサービスです。Connectorと呼ばれる仮想アプライアンスをVMware上に構築し、vCenterのログイン情報と移行先のAWSのアクセスキーを設定するだけで、AWSのマネージメントコンソール上から、サーバの移行が可能です。

VM Import/Exportと同様に、移行後のサーバはAMIとしてS3に保存されるため、AMIからサーバを起動すれば移行完了となります。

VM Import/ExportとAWS Server Migration Serviceの違いは?

VM Import/Exportとの違いは、AWS Server Migration Serviceでは増分レプリケーションが可能であるということです。VMImportも、AWS Server Migration Serviceも、オンプレミス側で、更新中のデータをコピーしてしまい移行先でエラーを起こさないよう、静止点を取るためにサーバを停止することが推奨されます。

しかしながら、24/365のITサービスにおいては停止時間を長時間確保するのは非常に難しいです。AWS Server Migration Serviceの場合は、増分レプリケーション機能を利用することで、サーバの静止点を取りやすくしており、サーバの停止時間を圧倒的に短くすることが可能です。

オンプレミスでVMwareを採用している場合は、AWS Server Migration Serviceを利用することで、短時間かつ安全にサーバをAWSに移行することが可能になります。一方で、VM Import/ExportはVMware以外の仮想化環境を使っている場合や、オンプレミスへのExport要件がある場合に利用するといいでしょう。

CloudEndure Migration

CloudEndure Migrationとはクラウドへの移行を自動化するサービスで、AWSがCloudEndure社を2019年に買収してAWSのサービスとなりました。移行元サーバーにエージェントをインストールすることで、サーバを移行できます。CloudEndure Migrationはオンプレミス→AWSへの移行だけでなく、他のクラウド→AWSへの移行も可能です。

また、VM Import/ExportやAWS SMSと比較し、高速に移行を行うことが可能です。一方で、最近リリースされたサービスであり、事例や日本語のドキュメントがまだまだ少ない、といったデメリットも存在します。

古いシステムでも安心して移行できるスタイルズのAWS導入・移行サービスはこちら→

大容量データの転送

大容量のデータをAWS側に転送する為には、SnowballやSnow mobileといった、AWSのSnowファミリーと呼ばれるサービスを利用します。数TBのデータをインターネットや専用線接続を用いてAWS側に送ろうとすると、数日~数週間かかってしまいます。加えて、データの欠損や、帯域の圧迫による処理遅延といった、予期せぬ不具合を起こしてしまう可能性があります。

Snowファミリーは利用の際にAmazonから送られてきたデバイスをデータセンターに接続し、Amazon側に配送しなおすことでデータの移行が可能であるため、オフラインでデータを送ることできます。Snowファミリーには、Snowball、Snowball Edge、Snow mobileといった種類があります。それぞれについて簡単に説明していきます。

Snowball

Snowファミリーの中で、一番安いサービスです。単純なデータ移行に適しています。

Snowball Edge

Snowballと比較し、ラックにマウントできるように設計されています。また、クラスタリング機能もそなわっていることや、Pythonによるコンピューティング機能による単純なデータ加工も可能になっています。その分Snowballより利用料が高額です。

Snow mobile

SnowballやSnowball Edgeは十数テラバイト以上のデータ移行に適していますが、こちらはペタバイト級のデータ移行に適しています。

データベースの移行

Database Migration Service (以下 DMS) はオンプレミス上に稼働するデータベースを、AWS側に移行することを支援するサービスです。先述のAWS SMSでもデータベースサーバの移行は可能ですが、DMSはRDSへの移行が可能になります。また、通常、データベースの停止はITシステムの停止につながる場合が多いため、データベースのダウンタイムは移行時の大きな障壁となります。そのため、DMSでは、以下のようなデータ移行オプションが用意されています。

  • FullLoad…移行元DBに入っているすべてのデータを移行先DBに移行する
  • Change Data Capture(CDC)…データ変更のみをレプリケートする
  • FullLoad + CDC…既存のデータを移行後、継続的な変更もレプリケートし続ける

また、Schema Conversion Tool(SCT)というツールを使うことで、データベースの統合も可能になります。SCTを使うとOracle→Amazon Auroraといった、異なるDB間のデータ移行が可能になるため、複数のDBエンジンを使うことにより生じていた運用負荷を軽減することが可能になります。

少し世界が違うVmware Cloud on AWS

VMware Cloud on AWSとは、AWSの物理サーバ上で稼働するVMwareを利用できるサービスです。オンプレミス上のVMwareと統合してサーバの管理が行え、オンプレミス上のサーバをAWSへそのまま移行することやAWS上のサーバをオンプレミスに戻すことも可能です。

VMwareと同様の操作が可能であることから、オンプレミスでVMwareを導入している場合はスムーズな導入や運用することができます。ただし、VMware社から提供されるサービスであり、サポートも原則、VMwareから提供されるため、サーバの移行が目的というよりはAWSの提供するデータセンターでVMwareを運用したい、といったニーズに合っています。

古いシステムでも安心して移行できるスタイルズのAWS導入・移行サービスはこちら→

新たにサーバーを構築してアプリを順次導入する場合

しかし、移行対象となるサーバーのOSが古くてEC2のサポート対象外だったり、VM環境がなく物理マシンからの移行となるようなケースでは、上記の移行ツールは利用できません。実際にはそのようなケースはかなり存在します。このケースでは、AWS上に新たにサーバーを構築して、ミドルウエア環境やアプリケーション、設定ファイル等を順次導入して、動作確認を実施していくことになります。

そして、データベースだけをツールを使って移行したりすることになります。

何を選んでよいか悩んでいる場合には

オンプレミスからAWSへの移行方法には様々なツールが用意されています。サーバ、データベース、データ、にそれぞれ目的に合ったツールを利用することで、安全にAWSへのシステム移行が可能です。また、移行の際にはPoCなどを行い、手順や操作方法を確立させて移行を実施するようにしましょう。ツールの選択や、移行プロジェクトに不安がある場合は、ノウハウを豊富に持つベンダーに相談してみるといいでしょう。