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StrutsからSpring移行 お役立ちコラム

Strutsフレームワークからの移行先はなぜSpringが最適か?

Strutsからの移行が必要な理由とは?

長年にわたり多くの企業システムで使われてきたStrutsフレームワークですが、現在ではすでにサポートが終了しており、使い続けることがさまざまなリスクにつながっています。たとえば、Struts 12013年に公式サポートが終了し、セキュリティ更新も提供されていません。そのため、新たな脆弱性が発見されたとしても、公式のパッチが提供される可能性は低く、対応が困難です。

このことが不正アクセスや情報漏えいといった重大な被害につながる恐れがあります。

また、Strutsに精通したエンジニアが減ってきていることも問題です。古い技術に詳しい人材は貴重ですが、外部からの採用が難しく、社内での育成も困難です。今後システムを維持していくうえで、「知見のある人がいない」という状態は非常に危険です。このように、セキュリティと人材確保の両面から、Strutsを使い続けることは企業にとって大きなリスクとなっています。

フレームワーク移行が難しい理由

Strutsを使い続けることはリスクがある一方で、Strutsから新しいフレームワークへ移行するのは、そう簡単な話ではありません。多くの企業の情報システム担当者や技術者が「移行したいけど踏み出せない」と感じているのではないでしょうか。

その理由のひとつが、「設計書やドキュメントが残っていない」ことです。古いシステムでは、当時の担当者が退職していたり、仕様が暗黙のルールになっていたりと、ソースコードしか手がかりがないケースも少なくありません。残っていたとしても、その内容がメンテナンスされていなくて、正確性に信頼がおけないことも多いこともあります。また、Strutsは長く使われている分、独自カスタマイズが多く含まれていることもあります。さらにStrutsに手を加えた企業ごとの独自フレームワークも存在しています。そのため、単純に機械的な置き換えでは対応しきれず、一つひとつの画面や処理を手作業で確認・修正していく必要があるのです。

このように、「移行したほうがいいとはわかっているが、大変そうで踏み出せない…」というのが、多くの現場での本音ではないでしょうか。

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移行先の候補はいろいろ。でもどれを選ぶ?

Strutsからの移行を検討する際、「どのフレームワークにすればよいか?」という選定も悩みのひとつです。Javaにはさまざまなフレームワークがあり、代表的なものとしては次のような選択肢があります。

  • JavaServer Faces(JSF…Java標準のコンポーネントベースのフレームワーク
  • Play Framework や Grails…より軽量でモダンな開発ができるもの
  • Spring Framework…現在の業界標準とも言えるフレームワーク

この中で、Strutsの後継として最も現実的で相性が良いのがSpring Frameworkです。SpringStrutsと同じくMVCアーキテクチャを採用しており、画面・処理・データを分けて構築できるため、Strutsの構造をそのまま活かしやすいという利点があります。

一方で、JSFはコンポーネントベースの設計であるため、Strutsとは思想が異なり、移行の難易度が高くなります。そのため、Strutsからの最小限の労力でのモダナイズを目指すのであれば、Springの選択が最も適していると言えるのです。

SpringはなぜStrutsと相性が良いのか?

SpringはStrutsと同じく、アクションベースのMVCフレームワークとして設計されています。これはつまり、画面遷移や入力チェック、処理の流れといった基本構造が似ており、Strutsでの開発経験があるエンジニアであれば、Springに移行しても理解しやすいということです。

さらに、Springは柔軟性と拡張性に優れており、必要な機能だけを組み合わせて使うことができます。たとえば、データベースとの連携にはMyBatisJPA、画面はThymeleafJSPなど、既存の資産を活かした構成も可能です。

また、Springは現在も活発に開発・サポートされており、情報源も豊富です。新しい開発者が学びやすく、社内での技術継承や人材採用・移行をサポートするベンダーの確保などさまざまな面で非常に有利です。Strutsで培ったノウハウを無駄にせず、スムーズに移行できる点がSpringの強みです。

Springへ移行することで得られるメリット

StrutsからSpringへ移行することで、次のようなメリットが得られます。

  • セキュリティの向上…Springは定期的にアップデートされ、脆弱性への対応がなされています。また、万が一深刻な脆弱性が発見されたとしても、Strutsと比較して迅速にパッチがリリースされるでしょう。
  • 開発効率の改善アノテーションやライブラリの充実により、より簡潔でわかりやすいコードが書けます。
  • 保守性の向上構造化された設計と豊富なドキュメントで、将来的な改修や拡張も行いやすくなります。また、現在さまざまな現場で利用されているフレームワークであるため、エンジニアの確保という観点でも非常に容易です。
  • クラウドやAPI連携に強い…Spring BootSpring Cloudと組み合わせることで、モダンなクラウドネイティブ開発にも対応可能です。

つまり、ただの「延命」ではなく、将来的な保守工数の削減やアプリケーションのモダナイズといった、将来への投資としての移行が実現できるのがSpringなのです。

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Springへの移行ステップとは?

実際にStrutsからSpringへ移行する場合、次のようなステップで進めるのが一般的です。

  1. プロジェクトの洗い出しまずは対象となるシステム・画面・機能を整理します。アプリケーションを構成しているファイル数やディレクトリをベースに整理していくのがいいでしょう。
  2. 自動変換ツールの活用…ControllerFormJSPなどは、様々なITベンダーが提供しているツールでの自動変換が可能な部分も多くあります。
  3. 手動での対応…Struts独自のカスタマイズ部分は、Springにあわせて書き直しが必要です。
  4. 動作確認とテスト新旧の画面や処理を比較しながら、動作の差異がないかを検証します。

上記のステップは非常に地道な作業の積み重ねになりますが、有識者不足や設計書がない場合でも、「動作が一致しているか」をチェックすることで、現実的な移行が可能になります。

無理なく始めるために~段階的な移行の実施

すべてを一度に移行するのはリスクやハードルが高い、と感じる場合は、「段階的な移行」を検討しましょう。たとえば、まずは一部の画面やモジュールだけをSpringで再構築し、徐々に範囲を広げていく方法があります。これにより、業務に支障を出さず、段階的に技術負債を解消していくことが可能です。また、StrutsSpringを一時的に混在させる構成も技術的には可能です。これにより、移行中の並行稼働も現実的に行えます。無理のない計画と、確かな技術支援があれば、Strutsからの移行は決して不可能なものではありません。

まとめ

Strutsのまま運用を続けることは、セキュリティ、人材、将来性といった面で大きなリスクとなります。とはいえ、「すべてを一気に変えるのは難しい…」という気持ちもよく分かります。

だからこそ、Strutsと相性が良く、少ない負担でモダンな開発環境に移行できるSpring Frameworkは最適な選択肢です。

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