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AWS活用支援コラム

AWS Elastic Beanstalkによるアプリケーションの自動デプロイメント

AWS Elastic Beanstalkとは

AWS Elastic Beanstalk（エラスティック・ビーンストーク）は、Amazon Web Services（AWS）が提供するPlatform as a Service（PaaS）で、アプリケーションのデプロイやスケーリングを自動化するサービスです。Beanstalkとは『豆の木』のことで、アプリケーションが豆の木のように素早く立ち上がることに由来して、Elastic Beanstalkと名付けられています。Elastic Beanstalkを利用すると、OSなどのサーバー設定や、ロードバランサーなどのインフラまわりの設定や管理の手間を省き、開発者がアプリケーション開発に集中できる環境を提供します。具体的には、主に以下の特徴があります。

  • マネージドサービス…PaaSとして提供されるマネージドサービスのため、インフラの管理が不要です。また、スケーラビリティも備えており、負荷に応じた自動スケーリングが可能となっています。
  • 多様なプログラミング言語に対応…通常はアプリケーションを動かすためのビルドが必要になりますが、Elastic Beanstalkはアプリのコードをアップロードするだけで環境が構築されます。また、対応しているプログラミング言語はJava、Python、Node.js、Ruby、PHP、.NET、Goなど、多くの言語がサポートされています。
  • 他のサービスとの統合…Amazon RDSやAmazon S3、Amazon SQS、Amazon CloudWatchなど、様々なAWSサービスと簡単に統合可能です。

AWS Elastic Beanstalkの利点

Elastic Beanstalkを利用することで得られる具体的なメリットについてみていきましょう。

  1. 簡単なデプロイ
    Elastic Beanstalkの一番の大きな特徴は、サーバーの設定やロードバランサーの構成などのインフラ周りの管理や作業、コードのビルドといった作業が不要であることです。数クリックでサーバーとロードバランサーが環境として用意され、アプリケーションコードをアップロードするだけでアプリケーションが稼働する環境が整備できます。
  2. 自動スケーリング
    Elastic Beanstalkは、アプリケーションの負荷状況に応じてインスタンスを自動的に増減させるAuto Scaling機能が備わっています。これにより、アプリケーションの可用性を保ちつつ、負荷が低いときにはスケールインをするなど、コストの最適化が可能です。
  3. モニタリング機能
    Amazon CloudWatchやAWS X-rayなどの、アプリケーションのパフォーマンスをモニタリングするサービスと簡単に統合できます。これにより、アプリケーションの負荷やエラーの状況をすぐに可視化できます。アラートを設定して異常時に通知を受け取ることもできます。
  4. CI/CDとの統合
    AWS CodePipelineやGitHub Actionsと統合することで、継続的インテグレーション（CI）および継続的デリバリー（CD）を実現します。これにより、コードの更新作業などを自動化することで、開発プロセスの工数を削減しスムーズにアプリケーションの更新ができます。また、Elastic Beanstalk単体でも、アプリケーションのローリング更新やトラフィック分割に対応しています。

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AWS Elastic Beanstalkの仕組み

Elastic Beanstalkは以下の主要な構成要素で構成されています。

  1. アプリケーション
    Elastic Beanstalk上でアプリケーションを管理する単位です。作成したアプリケーションをアップロード、環境やバージョン管理を行います。
  2. 環境（Environment）
    アプリケーションを実行するための実行環境です。『アプリケーション』が親であれば、『環境』は子になります。Elastic Beanstalkでは、１つのアプリケーションという単位に開発、ステージング、本番といった異なる環境を容易に作成できます。また、環境ごとに、監視方法（CloudWatchなど）やEC2インスタンスの設定（ボリュームサイズ、セキュリティグループなど）、デプロイ方法（ローリングなど）の設定を行います。コンソールから設定できない、さらにカスタマイズが必要な項目については、.ebextensionsというファイルを作成して設定を行います。
  3. 環境タイプ
    Elastic Beanstalkには主に2種類の環境があります。
    ・Webサーバー環境…HTTPリクエストを処理するための環境（Nginx、Apacheなど）
    ・ワーカー環境…長時間実行するワークロードを処理するバッチ処理環境や、バックグラウンド処理を実行するための環境
  4. リソース管理
    Elastic BeanstalkはEC2インスタンス、ロードバランサー、Auto Scalingグループ、RDSなどのAWSリソースを自動的に管理します。

Elastic Beanstalkの環境は、これらのリソースを「環境」として統合的に管理し、デプロイ時に適切な構成を適用します。例えば、EC2インスタンスはアプリケーションを実行するコンピューティング環境として機能し、ELBなどのロードバランサーが負荷分散を担当します。また、Auto Scalingグループがトラフィックに応じてインスタンスの数を増減させることで、パフォーマンスを最適化します。これにより、ユーザーはインフラの詳細な設定を意識せずに、アプリケーションのパフォーマンスを最大化できます。

さらに、Elastic Beanstalkの管理コンソールやCLIを利用することで、簡単に環境の作成・更新・削除が可能です。これにより、環境のライフサイクル管理が容易になり、開発チームは本来のアプリケーション開発に集中できます。

Web環境とワーカー環境をつなぐ

Elastic Beanstalkでは、Webサーバー環境とワーカー環境を統合して処理を分散することが可能です。特に、非同期処理をSQS（Simple Queue Service）を活用して管理するケースが一般的です。具体的には以下のような処理方法となります。

  1. Webサーバー環境でユーザーのリクエストを受け付け、SQSキューにメッセージを送信する。
  2. ワーカー環境がSQSからメッセージを取得し、非同期で処理を実行する。
  3. 必要に応じて結果をデータベースやS3に保存する。

このアーキテクチャにより、Webサーバーの負荷を軽減し、スケーラブルなシステムを構築できます。

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まとめ

AWS Elastic Beanstalkは、インフラ管理を簡素化し、アプリケーションの迅速なデプロイを実現するPaaSです。アプリケーションのコードを用意するだけで、Elastic Beanstalkを利用すれば数クリックでWebアプリをデプロイすることができます。ただ、実際にElastic Beanstalkを本番環境のアプリケーションで利用する際には、環境やコードのバージョン管理、コードの更新方法などの、運用面での考慮も必要になってきます。そういった点については、AWSの専業ベンダーに相談するといいでしょう。AWS Elastic Beanstalkを活用することで、アプリケーション開発の効率化と運用負荷の軽減が実現します。