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IoT開発にはどのような技術が必要なのか?

IoTに必要な技術とは?

IoT(Internet of Things)とは、モノのインターネットと訳されるとおり、様々なデバイスがインターネットを通じて接続し、情報を交換し合う技術のことです。従来のインターネットは、主にパソコンやサーバー等のIT関連機器など、コンピューター同士の接続がされていました。それに加えて現在は、新たにスマート家電機器を中心として様々な家電や、監視カメラといった町中の様々な機器もインターネットに接続されています。これらのIoT機器はどのような技術で構成されているのでしょうか。下記に記載していきます。

データを取得する

  • センサー、カメラ等のデバイス
    現実世界のさまざまな事象や状態を、コンピューターが扱える「データ」に変換するデバイスとして、センサーやカメラが挙げられます。具体的には、AIカメラやスキャナーの他、Raspberry Piなどで構築された簡単なデバイスが挙げられます。
  • 識別子
    RFID、バーコード、QRコードなど、数字・文字・記号などの情報を一定の規則に従い表示・保存させる識別子を使うことで、データを機械が取り込みやすいようにします。

データを送る

  • ネットワーク機器
    IoTデバイスやコンピューターと他のコンピューターを接続する機器のことです。コンピュータ同士のネットワークだと有線で接続されることが多いですが、IoTの場合は接続機器の関係上、無線で接続されることが多いです。
  • 通信プロトコル
    人同士が会話をする際に様々な言語があるように、コンピューター同士でも通信をするための一定の決まりがあり、その決まりのことをプロトコルといいます。IoTシステムではデータ量が少ないため、MQTT (Message Queueing Telemetry Transport )などの簡易なプロトコルが利用されます。

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データを溜める

  • クラウド
    収集したデータを蓄積する先として、クラウドが注目されています。IoTは様々な機器からデータを取得するため、データの量が大量になることがあります。大量のデータを保存・分析するためにオンプレミスの機器を用意するのは高いコストがかかるため、クラウドを活用します。
  • エッジコンピューティング
    IoTデバイスに近いコンピューターにてデータを保管し、一定のデータ処理を行う仕組みです。自動運転など、ある程度高速なレスポンスが必要となる場合はエッジでデータ処理を行うケースも存在します。

データを活用する

  • ビジネスインテリジェンス(BI)
    ビッグデータからビジネス上の有用な知識を発見するためのプロセスのことです。統計的な分析手法を利用し、データを可視化して様々な用途に活用します。
  • AI/機械学習
    こちらも統計的な分析手法を利用して、データの分類や予測を行う仕組みです。IoTで収集した様々なデータを活用することで、精度の高いデータ分析が可能になります。

安全に活用する(セキュリティ)

設置した様々な機器がハッキング等を受けると、レスポンスの遅延を招くだけでなく、データが摂取されるなどの危険があります。そのため、各機器においてセキュリティ対策が必要になります。
簡単に必要な技術について記載していきましたが、次項以降で詳細を記載します。

IoTとセンサー

IoTは現実の様々な現象や事象をデータとして収集する必要があるため、ネットワークに接続できるIoTセンサは必要不可欠です。リアルタイムに現象や事象についてデータとして収集することで、アクションを起こしたり、新しい価値を見出してサービスにつなげることが可能になります。IoTセンサには、さまざまな種類があり、それぞれ目的が異なります。具体的には下記のような種類が存在します。

  • モーションセンサー
    物体の移動速度をデータ化するセンサーです。自動運転の車や産業用ロボットなどで利用されています。
  • ジャイロセンサー
    物体の傾きや回転を検出するセンサーです。家庭用ゲームなどでコントローラーを振って遊ぶ機種がありますが、そのようなゲームに搭載されています。
  • 光センサー
    光センサーは光の有無や強さを検出するセンサーです。農業分野では果実の糖度を測定する際に利用されています。
  • イメージセンサー
    カメラなどに利用されている、光を電気信号に変換することで画像を生成するセンサーです。
  • マイクセンサー
    別名音センサーとも言い、音の高さや大きさ、音質を電気信号に変換します。
  • 圧力センサー
    センサーにかかる力を電気信号に変換します。体重計やエレベータのボタンなどに利用されています。

これらのセンサーには使用に向けた目的や、制限が存在します。センサーの導入にはその点を踏まえて選定を行う必要があります。

IoTゲートウェイ

IoTゲートウェイは、センサーや情報端末、ウェアラブル機器などのIoTデバイスとサーバーとをつなぐ中継地点として機能する機器です。IoTデバイスにはそれぞれ通信プロトコルが設定されていますが、IoTゲートウェイを経由させることでプロトコルを変換し、サーバーにデータを保管することができます。また、IoTゲートウェイを経由させることによるメリットは下記のようなものもあります。

  • デバイス管理の統合
    IoTサーバーに故障しているデバイスなどのデータを検知し、通知を送信することで、様々なデバイスの状態管理が可能になります。
  • セキュリティ上のメリット
    直接デバイスとサーバーをつなぐと、サーバーに不正アクセスをされるリスクが高まります。ゲートウェイを経由させることにより、直接不正アクセスをされるリスクを低減することができます。

IoTのためのネットワーク

IoTのセンサーやデバイスとサーバーを接続させる方法としては、「直接通信方式」と「デバイスゲートウェイ方式」があります。また、両方の方式については、主に無線での接続方式がとられます。

  • 直接通信方式
    IoTのセンサーやデバイスが直接インターネット経由でサーバーに接続する形式です。無線LANや4Gの回線が利用されます。通信可能な範囲は広いですが、4Gの回線は大手通信会社との契約が必要となるため、消費電力や回線コストは大きくなります。
  • デバイスゲートウェイ方式
    通信にはBluetoothやLPWAといった接続消費電力の少ない通信方式を利用し、ゲートウェイを経由して通信を実施します。扱えるデータ量は直接通信方式と比べて少なくなりますが、コストは低く抑えられます。

IoT機器の電源

IoTデバイスが機能するためには、IoTデバイスを機能させ続けるための電源も必要です。BluetoothやLPWAといった低電力な通信プロトコルを利用する手もありますが、一方で給電の方法も確保しないと、低電力と言えどもデバイスが稼働しなくなります。

  • バッテリー形式
    デバイスにバッテリーを備えておく形式です。バッテリー駆動型では定期的にバッテリーの交換が必要となりますが、安定的な電源供給が可能になります。
  • 環境給電
    太陽光や振動などから電力を得る仕組みをデバイスに備えておく仕組みです。バッテリー交換は不要になりますが、夜や雨天では使えず、ゴミや葉で覆われて発電しなくなる危険性があるため、機器の監視を密に実施する必要があります。
  • ワイヤレス給電
    無線でデバイスに対して給電を行う仕組みです。現在研究開発中ですが、実用に向けては総務省で検討が進められています。

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IoT通信のプロトコル

IoTとサーバーを通信させるためのプロトコルとして、代表的なものは下記の2点です。

  • HTTP(S)
    特徴は、TCPを使用し、非常にシンプルで汎用性が高いという特徴があります。同期通信が前提となっており、データの受け手のサーバーが故障している際にはデータがロストしてしまいます。
  • MQTT
    Pub/Sub型の通信を行う軽量なプロトコルです。MQTT通信を行うためには、データを送信するクライアントと、データを実際に処理するサービスの間にMQTTブローカーというサーバーを配置する必要がありますが、非同期通信のため、データの受け手のサーバーが故障していてもデータがロストしません。

IoTにとってのセキュリティの重要性

IoTは非常に便利である反面、アニメ映画でも取り上げられるように、セキュリティに対しても非常に脆弱な部分があります。IoTデバイスは軽量化かつ簡単なデバイスであることが多く、セキュリティ対策のプログラムをインストールすることが難しいことに加えて、数が多いため、脆弱性が発覚しても対処に時間がかかってしまいます。

また、IoT機器は攻撃されるだけでなく、攻撃のための踏み台としても利用されます。デバイスの数が多いため、DDoS攻撃(Webサービスに多数の同時アクセスを行い、サーバーダウンを誘発するサイバー攻撃等)の踏み台として利用されるリスクがあります。認証機構を整備したり、導入したIoTの管理・モニタリングを徹底してセキュリティパッチを自動的に実施するといったセキュリティ対策が必要です。

まとめ

IoTに関する必要な技術についてまとめました。オンプレミスで上記を整備することは非常に難しく、コストがかかります。IoT関連のサービスを展開しているプロバイダーと協力したり、クラウドを利活用して導入したり、といった方式をとると、コストを抑えることができます。IoTの様々な方式に関するメリット・デメリットを考慮して、方式を選択するようにしてください。