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StrutsからSpring移行 お役立ちコラム

StrutsフレームワークはSpringにコンバート(移行)できるのか?

StrutsからSpringに本当に移行できるの?

様々な企業では、Javaの代表的なフレームワークであるStrutsでシステム開発が行われ、今なお基幹系をはじめとした多くの重要システムでStrutsが利用されています。Strutsのサポート終了を受けて、「Strutsのサポートが終わったのは分かった。でも、うちのシステム、すごく古いし、独自の作りも多いし……本当にSpringに移行できるの?」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、StrutsからSpringへの移行は可能です。実際、多くの企業で移行実績があり、フレームワークの違いを理解して計画的に進めれば、現行システムの動作を維持したまま移行を実現できます。

特にStrutsSpringは、どちらも「MVCアーキテクチャ」に基づいており、画面(View)、処理(Controller)、データ(Model)を分ける構造が共通しています。このため、設計の大枠を活かしながらの移行がしやすく、まったく別物に作り直す必要はありません。ただし、「全自動で完了する」というわけにはいきません。現実的には、自動で変換できる部分と、手作業で仕上げる必要のある部分があります。次のセクションでは、その全体像をご紹介します。

StrutsからSpringへの全体像~2ステップで進める移行の流れ

StrutsからSpringへの移行は、次の2ステップに分けて行うのが一般的です。

  • ステップ1:自動コンバート
    特定のルールに基づいて構成されたファイル(struts-config.xmlActionクラスなど)を、ツールで一括変換します。
  • ステップ2:手動仕上げ
    自動では変換できないカスタム処理や細かい動作の調整を、エンジニアが手作業で行い、動作確認をしながら完成させていきます。

この2段階に分けて進めることで、移行作業の見通しが立ちやすくなり、既存システムの「可視化」にもつながります。

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自動コンバートでできること:ActionJSPも機械的に対応可能

では、ステップ1の「自動コンバート」では何ができるのでしょうか。たとえば、Stylezが提供するツールでは、以下のようなコンポーネントを比較的高い精度で自動変換できます。

  • Action → Controller(Spring MVC形式)
  • Form → Formクラス(JSR-303アノテーション付き)
  • Validation.xml → @Requiredや@EmailなどのSpringアノテーション
  • JSPのStrutsタグ → SpringタグやJSTLタグ

実際には、変換用のツールがStruts特有の設定ファイルやタグを解析し、Spring形式に書き換えてくれます。たとえば、Struts <html:text> タグが存在する場合、Spring<form:input>に自動的に置き換えられ、入力項目がそのまま再現されるように変換されます。バリデーションルールも、XMLからJavaアノテーションに置き換わるため、Springらしいコードになります。この工程によって、移行作業の時間とミスを大幅に削減できます。また、動作しているコードがあれば、ツールを適用することで移植することが可能で、要件定義や設計工程といったステップをなくす、もしくは最小限で行うことができます。ただし、StrutsからSpringへの移行はこれだけでは終わりません。

手作業で仕上げる大事なポイント:Strutsのクセに向き合う

Strutsを長年使用していると、どうしてもフレームワーク固有の「クセ」に依存した実装が増えてきます。たとえば以下のようなものです。

  • 独自の入力チェックやバリデーション順序
  • 複雑なフォワードチェーン(Action → Action → JSP
  • トークンチェックによる二重送信防止
  • RequestScopeを活用した画面状態の保持
  • Formの再利用やBeanUtilsによるプロパティコピー

これらの部分は、自動変換では対応しきれないため、手作業で調整する必要があります。Springでは、バリデーションチェックの順序がStrutsと異なるため、Strutsと同じ順序を再現する工夫が必要です。また、フォワード処理の流れや、エラーメッセージの再表示処理などもSpring流に書き換える必要があります。ただし、ここで大切なのは「完璧な再現ではなく、動作の一致を目指す」という姿勢です。実際に表示される画面や、処理の結果が変わらなければ、内部の作りは少し変わっても問題ありません。

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どこまで似せられる?Strutsと同じ動きをSpringで再現する工夫

StrutsからSpringに移行する際、多くの方が不安に思うのが「これまでと同じように動くのか?」という点です。「入力チェックの流れが変わったら、ユーザーが混乱しないか?」「二重送信の防止がうまくいかなくなるのでは?」など、細かい動作の違いが大きく気になる点かと思います。実際、StrutsSpringでは、同じようなことをしていても実現方法が異なることがあります。ただし、工夫次第でStrutsの動作にかなり近づけることが可能です。以下にいくつかの例をご紹介します。

入力チェックの結果(エラーメッセージ)を画面に再表示するには?

Strutsでは、入力に不備があったとき、フォームに入力された内容を保持したまま、同じ画面に戻してエラーメッセージを表示するのが一般的でした。たとえば「名前が未入力です」というメッセージが表示され、名前以外の入力はそのまま残っているそんな動作をよく見かけたと思います。Springでも同じように表示するには、入力チェックの結果である `BindingResult` を、再表示する画面に渡す必要があります。しかし、通常のSpringの画面遷移ではこの情報が失われやすく、エラーが表示されないことがあります。これを解決するために、以下のような工夫が使われます。

  • Interceptor(インターセプター)やAOPの技術を使って、BindingResultを一時的に「Requestスコープ」に保存します。
  • 再表示時に、保存しておいた情報を取り出し、もう一度画面に渡すことで、Strutsと同じように「入力内容を保ったまま、エラーを表示する」動作を再現できます。

二重送信防止のトークンチェック

Strutsには、TransactionTokenという仕組みがありました。これは、同じボタンを連打してしまったときに処理を重複して行わないようにするための仕組みです。たとえば、注文ボタンを2回クリックしてしまい、同じ商品が2つ届いたら困ります。こうしたトラブルを防ぐのがトークンチェックです。SpringにはStrutsのような標準機能はありませんが、同様の動作を再現するために次のような方法が使われます。

  1. トークン(乱数など)をリクエストごとに発行し、フォームに埋め込んでおきます。
  2. フォームが送信された際に、そのトークンが再利用されていないかを `Interceptor` で検証します。
  3. 使われたトークンは無効化することで、再送信を防ぎます。

最初の一歩を踏み出すために:失敗しない準備とは

実際の移行作業に入る前に、まずは準備が大切です。Stylezでは、以下のような手順で移行を支援しています。

  • ヒアリング対象システムの規模、構成、課題を把握
  • NDA締結ソースコードや環境を安全に共有する準備
  • ソースコード受領と解析プログラムとWARファイルを元に調査
  • 自動コンバートの実施変換ツールを使って移行のベースを作成
  • 手動移行とテスト残りの部分を手作業で移植し、動作確認

「いきなり全部やる」のではなく、まずは一部の画面や機能だけを対象に試してみるというアプローチも有効です。

まとめ

StrutsからSpringへの移行は、確かに一筋縄ではいきません。ですが、正しい手順と経験のあるパートナーがいれば、今のシステムの動きを保ちながら、安全にモダナイズすることができます。これからの時代に対応するためにも、まずは現状のシステムを見直し、「どこまで自動化できるか」「どの部分が手作業になるか」を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。そしてその一歩が、より安全で、より柔軟なシステムへの移行につながっていくはずです。Stylezでは、移行支援ツールの提供と豊富な実績があります。StrutsからSpringへの移行でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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