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AWS活用支援コラム

AWS DataSyncでのオンプレミスとのデータ同期戦略

AWS DataSyncで何ができる?

AWS DataSyncは、AWS(Amazon Web Services)が提供しているデータ転送サービスです。オンプレミス環境とAWSクラウド間、もしくはAWSの異なるストレージサービス間でデータを効率的かつ安全に転送するためのサービスです。これにより、大量のデータを迅速に移動でき、手動によるデータ転送の複雑さや時間を大幅に削減します。

データ転送というと、データセンター等にアプライアンスを設置するケースもありますが、AWS DataSyncはマネージドサービスとなっており、ネットワークやストレージの設定を簡単に行うことができ、データ転送の効率とセキュリティを向上させます。

さらに、DataSyncは大規模なデータセットの一括転送だけでなく、定期的なデータ同期やバックアップにも適しています。これにより、ハイブリッドクラウド環境におけるデータの一貫性と可用性を確保しやすくなります。AWS DataSyncは、ファイルシステムの形式を問わず、NFS(ネットワークファイルシステム)やSMB(サーバメッセージブロック)などの一般的なプロトコルをサポートしているため、既存のインフラに簡単に統合できます。

AWS DataSyncの特徴

AWS DataSyncの主な特徴には、以下のような点があります。

データ転送の自動化

DataSyncは、スケジュールに基づいた自動転送や一度限りの転送ジョブを設定することができ、管理者の手間を大幅に減らします。また、DataSyncは転送速度が非常に高速であり、オンプレミスからAWSへのデータ転送速度は10倍以上の高速化が可能です。

データの整合性とセキュリティの確保

データベースの重要なデータや、大量のデータ転送を行う際には、どうしてもデータの欠損やデータの機密性が気になるところです。AWS DataSyncを使うと、転送中のデータはTLS(トランスポート層セキュリティ)で暗号化され、転送後のデータはS3やEFSなどのAWSストレージサービスに安全に保管されます。さらに、DataSyncはペタバイト規模のデータでも処理可能です。

簡単な設定と操作

GUIを使った直感的な管理が可能です。AWS Management Consoleからデータ転送の設定を数クリックで開始することができます。このように、データの転送や管理をすぐに開始できるよう、簡単に設定やモニタリングを行えるGUIになっています。

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AWS DataSyncのユースケース

AWS DataSyncは、さまざまなユースケースで利用されています。具体的なユースケースを見ていきましょう。

クラウド移行時のデータ転送

オンプレミスのデータセンターからAWSへのシステムのクラウド移行を行う時に、大量のデータを迅速かつ安全に転送するために使用されます。これにより、移行プロジェクトの期間を短縮し、コストを削減できます。

バックアップ

オンプレミス上の定期的なデータバックアップにも適しています。オンプレミスのデータはクラウドのように複数のデータセンターをまたがって保管することは難しいのが現状です。そのようなオンプレミスのデータの完全性を確保するために、AWS DataSyncを利用して定期的にデータをAWSにバックアップすることで、災害復旧対策やデータ保護を強化できます。データの移行先は、Amazon S3や Amazon EFS、またはAmazon FSx for Windowsファイルサーバーを選ぶことができるため、様々なデータのバックアップを取得することができます。

拠点間のデータ共有

分散された拠点間でのデータ共有や同期にも利用されます。例えば、異なる地理的拠点にあるチーム間で大容量のデータセットを共有し、リアルタイムに更新する必要がある場合に、DataSyncを使用することで効率的にデータを同期できます。これにより、業務の生産性を向上させ、データの一貫性を保つことができます。

AWS DataSyncにおける利用上の注意点

AWS DataSyncを利用する際には、いくつかの注意点を考慮する必要があります。

ネットワーク帯域幅の確保

DataSyncは大量のデータを迅速に転送するため、ネットワーク帯域幅が不足しているとパフォーマンスに影響が出る可能性があります。適切な帯域幅を確保するために、ネットワークインフラの確認と必要に応じたアップグレードが推奨されます。

データ転送コスト

DataSyncはデータ転送に伴う料金が発生します。特に大量のデータを頻繁に転送する場合、コストが積み重なる可能性があります。予算管理のため、転送頻度やデータ量を適切に計画し、コスト試算を行うことが重要です。

セキュリティ対策

DataSyncはデータ転送時にTLS暗号化を使用しますが、転送元と転送先のストレージのセキュリティも確保する必要があります。データ保護ポリシーに従ってアクセス制御を設定し、不正アクセスを防止することが重要です。

エラーハンドリング

AWS DataSyncは、データの整合性をチェックしながらデータの移行を行います。したがって、データ移動中に編集中のファイルに対して何らかの書き込みがされると、AWS DataSyncの機能であるファイル整合性チェックの段階で、不整合と判定されてエラーとして処理されてしまいます。したがって、AWS DataSyncを利用したデータ転送を実施する際は、データの書き込みが少ない時間帯(休日夜間帯など)やデータをロックしておくといった対応が必要になります。

他の似たAWSサービスとの違い

Kinesisシリーズとの違い

ユースケースが異なっています。Kinesisシリーズは、主にデータ分析の際のデータ収集に利用されます。具体的にはストリーミングデータのリアルタイム処理が代表的なユースケースとなります。AWS DataSyncはファイルやディレクトリの大量データをまとめたバッチ転送が代表的なユースケースとなります。

Snowファミリーとの違い

時間がかかっても、大量のデータを安価にオンプレミスから移行したい場合は、Snow ballなどのSnowシリーズを利用するといいでしょう。また、オンプレミスとAWS間のNWが低速で、データの移行に時間がかかる場合もSnowシリーズが適しています。一方で、データの容量が多くなく、NWの帯域や予算に余裕がある場合はAWS DataSyncを利用してください。

Storage Gateway

Storage Gatewayはオンプレミスとクラウド間のハイブリッドストレージ機能を提供しています。少々違いが分かりにくいですが、AWS DataSyncと異なり、ローカルキャッシュ機能や、バックアップの最適化など、ストレージについてオンプレミスとAWSを併用したい場合はStorage Gatewayを利用するといいでしょう。

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まとめ

AWS DataSyncはデータ転送に特化し、データの共有やバックアップのために、安全かつデータの完全性を確保したデータ転送方法を提供します。ネットワーク環境さえあれば簡単に導入できるため、オンプレミスとAWSとのデータ連携や、リージョン間のデータ転送などを行いたい場合はぜひ検討してください。データはバックアップだけでなく、分析対象としても価値があるため、AWSではデータ転送に関する様々なサービスが利用可能になっています。どのようなサービスを使えばいいか悩む場合は、専業のベンダーに相談するのもいいでしょう。